ところで、アクセス数が予想以上に増えた顔文字英語版のページですが、英語版の掲示板にスイス人の人がナチスのカギ十字で顔文字を作るとはなんてひどいことをしているんだ、ファッキング ジャパニーズ!!!みたいな書き込みをしてきた。

そうしたら、紹介した顔文字の中に手裏剣しゅしゅっとかって、顔が手裏剣を投げているのがあるんですが、その手裏剣が卍(まんじ)で表現されているんです。ドイツの仲間である旧枢軸国側である日本で使われている絵文字に、忍者の武器として卍が・・・ああ、なんか条件整い過ぎ。

で、日本の卍とナチスのカギ十字は逆向きなのでに、ナチスを称えてこの文字を使っているわけでは全くないのですが、かなり形が似ているので、海外の人だったら勘違いする人がいてもおかしくありません。いや、逆に卍が仏教で使われる文字であり、アジアでは良い意味を持つ事や、日本では地図でお寺マークとして使われていると言うことを知っている日本人以外の人間の方が世界の中で少ないのではないか。

そうしたら、以前にこんな事件があったそうなんです。爆発的に流行ったポケモンカードの一枚に背景に小さく卍マークが入っているカードがあった。で、これは日本語版を作るときは全く問題にならなかったが、英語版を作るにあたって、一応卍はやばそうだからやめとこうか、と、そのカードの英語版は作らなかったそうなのです。

しかし、日本語版というのは向こうでは原版でありレアものなので英語版が正規ルートで流通しつつも正規ルートでなく流通した日本語版のカードに卍があるのを見て、アメリカのユダヤ人の団体から任天堂の現地の会社にクレームが沢山来て、結局任天堂は日本語版からも卍マークを削ることにしたのだそうです。

確かに、ユダヤ人にとってナチスはとても精神的に苦痛を与えるものであることには違いないのですが、そのためにアジアでナチスよりずっとずっと昔から使われている卍が使えなくなるとしたら、これはどうなんでしょうか。もちろんナチスは責められなければいけないし、許容できるものではないことが明白ですが、そのために他の文化の何かが姿を消してしまっていいものか、という問題になります。文化とはお互い尊重しあって、初めて人類としての文化的豊かさを享受できるものなのではないでしょうか。

まずはこのマークがアジアではよい意味を持つと言うことを西洋に知ってもらう事が大切ですね。任天堂がこの文化干渉とも言える事をあっさり受け入れて、卍を削ったのは、それはやはり企業という営利団体だからです。自分たちは悪いことはしてないけど、商売にトラブルが増えるくらいなら、削った方がいいかもね、というような合理的精神でしょう。それはそれで仕方がありません。

日本語のキーボードでは☆とか♪とか出るのが1バイトのキーボードを使っている人たちはびっくりするらしい。しかし、はっきり言っておきますが、日本のキーボードは卍は出ますがカギ十字(ハーケンクロイツ)は出ませんのであしからず。