アメリ」2001年/フランス/監督:ジャン・ピエール・ジュネ。この映画かなりヒットしてましたよね。でも映画の予告を当時初めて見たときはなんか少女趣味が私にはきつい感じがして、世の中の女の子にとてもヒットしたようだけどそんなに見る気は起こらなかった。しかし、そうした偏見を持つのもあれかな、と思って見てみました。

感想→一言:疲れた。映画の趣旨としては、周りの人を幸せにしてあげるような小さな悪戯をする愛らしい空想癖な女の子の話が、映画を見終わったあとにそこはかとない幸せ感を見る人に与える、と言うことらしい。その悪戯の一つ一つのエピソードも見る人が忘れかけていたようなはっとしたことだったりして、その辺が愛すべき映画って事らしい。

しかし、私にとっては自分の中の見たくない自分(もう認めてはいるけど)を刺激されて、映画の最初から最後までそれを見せつけられている気がしてそのショックから立ち直るためにエネルギーを変に消耗した気がした。というのは私は空想癖とかあるし、そんなのを映画でもう一回見せられてもさして新鮮味もないし、そういうものに現実生活では依存したくないと今は思っているので(絵を描くので十分)、日常生活で力一杯それを発揮しているアメリを見ると封印していた自分が出てきそうでイヤだと思ったのでしょう。一人で悪戯をしているアメリの暗いこと。あれはかわいい女の子がやってるから絵になるのかも知れないが、とにかくあの暗さは自分に思い当たるので非常に精神的に良くない。

しかも、最後にハッピーエンドになる恋人との途中のやりとりも完全にコミュニケーション不全の人のそれ。ほかの登場人物にも違う種類のコミュニケーション不全の人が出てくるし、この映画はある意味そういうのもテーマになっているのかも。なんかアメリのアプローチの仕方はたぶん多くの人には理解不能とか微笑ましいなどというものなのだろうが、私にしてみれば冗談じゃないって感じ。

そして同時に自分にも心当たりがあるようなバツの悪い感じ。自分の中の要素を否定しているのではなくて、今自分が指向しているのとは違うかつての自分のような気がしてなんだか嫌なのだろう。これは登場人物に共感するというよりは思い出したくないところを呼び覚まされたって感じなのだろうか。

映画見たあとは勇気が出たとか、さわやかな気分になったとか、感動したとか、スカッとしたとか、イマジネーションが刺激されたとかそういうのがいいのーー。と言うことで、あまり私にはアメリは向いていないらしい。

でも、さすが、アメリのファッションは完璧でした。おかげで次に買う服のイメージがわきました。それだけはお礼を言うよ、アメリ。