年金討論会の感想を書いて河野議員のマスコミに対する発言についての感想を書いたら、ハーデスさんから以下のようなコメントをいただきました。河野さんの言っていることとかなり違う内容だったのでちょっと考えてみようと思います。
いただいたコメントはこれです。
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反発覚悟でストレートに書きますと、記者クラブ自体はあまり問題ないと思います。
例えば、よい例(?)と世間で言われている記者クラブ廃止後の長野県の「表現道場」は明らかに知事のパフォーマンスに利用されています(長野県のHPに すべての会見がアップされているので読むと、田中知事は都合の悪い発言は遮り、都合のよい発言には延々と演説しているのがよくわかります)。
実際の記者クラブには役人はどうしているかというと、プレス発表のたびに200部程度の資料を持ち込み、その資料を適宜取っていってもらうとい うケースが一番多く、そのほか、記者会見を行う、プレスにレクチャーするなどがあります(結構労力を使うのであまりやりたくないです)。
資料もなるべくわかりやすく、複雑な法案はプレスレクなどしたりしてなんとか真意を伝えようとします。
それでも全然違う記事が載ったりするケースもしばしばです。
理由は
1)結論が決まっていて、その方向に政府の資料を利用しただけ(年金関係でもよく見られましたが意図的にコアな部分より恥の部分を叩くという奴です。国民不在ですね)
2)記者の勉強不足(多忙なためでしょう)
かくして役人はどうしたら国民に真意が伝わるのであろう、と悩み続けるわけです。
ちなみに、記者クラブを利用した方が政府に都合がいいというのはないです。
なぜなら、記者発表資料は全部HPにアップされているからです。
情報の宝庫、各省庁HPを皆様是非ご利用くださいませ。
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なるほどー。官僚の側からの実感のあるコメントです。では、都合がいいのは記者クラブに参加している記者さんのほうですかねえ。あれって参加できるメディアって決まってるかなんかなんですよね、確か。
政治家である河野さんと官僚のハーデスさんの思いが違うのは、立場が違うから当然なんでしょうね。しかも政治家はパフォーマンスに長けている。実利がメインの官僚さんたちはやっぱり国民にどう写るかってところでは、ちょっと分が悪そう。田中知事が利用していると言っても、それの真偽はわかりませんが、やっぱり政治家で自分のやりたいように進めるためにそのくらいのことはしちゃうのかも知れませんね。
>かくして役人はどうしたら国民に真意が伝わるのであろう、と悩み続けるわけです。
私もこれについては、官僚さんのお話を聞くようになってからなんとなく感じます。
でも、これは役人の置かれている立場からするとかなりの難問に思えます。というのは、各省庁のウェブサイトに資料をきっちり上げてあると言っても、その情報を得るには能動的な動作が必要なのですね。わざわざそれに興味をもってかなり高い関心を持って、何々省のホームページへ行って探すっていうのはかなりモチベーションとか問題意識が高くないとできない動作なんですね。探しに行ってあるかどうかっていうのも定かじゃないかもしれないですしね。ワイドショーをたまたまつけたら、「社会保険庁は伏魔殿だ」という受動的でも入ってくる情報には太刀打ちできないのですよ。現実問題として。
ネットではよくプル型とプッシュ型の情報などというかと思いますが、プル型の情報しか今は行政の側からは提供できない状態なんだと思います。
で、こちらの意図したように情報を流したり、アピールしたりするためにはマーケティング的な思考がある程度必要なのかもしれませんが、そういうことを役人がやると「情報操作だ!強制だ!」って言われちゃうんですよね?そうすると、プッシュ型で情報を流すことができないってことになっちゃいますよね。
プル型だけで、真意を国民に理解してもらうってかなり現実問題として難しいですよね。だからハーデスさんも日夜お悩みだということなんでしょうけど。あとは、たまにまじめに書いてくれる新聞記事とかに期待するしかないみたいな、すっごく自分だけではどうにもできない話になってしまいますね。
あー、まとまりがつかないのですが、ちょっと今日はここまで。
【関連記事】
2004年07月29日(木) 【今頃ですが】年金公開討論会の感想
http://www.myprofile.ne.jp/blog/archive/hiroette/835
【2007/07/31 追記】
この記事についてit1127さんからこんなコメントを頂きました
---------------
一般的な国民がマスメディアの情報に期待するのは、面白さであって、情報の真偽ではないと思います。特に権力(政財官界など)に与するような、記事・報道は受けないと思います。だから、真の情報を欲している人に、正しく伝わるようなシステムが整備されていれば問題ないと思います。そういう意味では、情報公開は標準をクリアしていると思います。ほとんどの国民は、自分のことで手一杯で、官僚の真意を理解しようなどと思っている人はいないと思います。ですから、そういった国民に情報がどうしたら正しく伝わるかなどで、心を悩ますことはないと思います。情報の必要な人には十分伝わっていると思いますから。
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そうでしょうか。国民がメディアに求めるのは面白さのみでしょうか?情報の真偽ではないと言いますが、一応ニュースで報道されるものは間違った情報でないという前提で(たとえ建前だとしても)世の中は動いているのではないでしょうか。だから、ヤラセだったと発覚したら問題になったりするんですよね。官批判でない記事=権力に与する記事というのもちょっと単純すぎる解釈のような気がします。国民はたとえば税が下がる、何かが便利になるという事であれば、それを実施する人、言い出す人が誰であろうが(首相であろうが、官僚であろうが)喜ぶと思います。意味もなく反権力という国民は私は主流派ではないと思います。
ここで問題になっているのは仮に官僚がやっていることが10のうち8が良い、2が悪い(これはあくまでも仮ですよ!)だとすると、マスコミ経由で私たちに情報が届くときは10のうち1が良い、9が悪いという姿になって報道されていると言うことです。それについてハーデスさんは心を痛めているのだと思います。
もちろん、官の方もPRが完全かと言えば、それはたぶん違うのでしょう(だから現状がこんなわけで)。そのもともとの控えめなPRしかできない立場の人たちにとって「とりあえず官僚批判しとけ!」というマスコミの論調があるとすれば、それは彼らにとって大きな壁として立ちふさがるということは事実でしょう。
ミズタマのチチさんも書いていましたが、敢えて官発の情報をプッシュ型にする方法としては「官庁HPもRSSとかATOMフィード飛ばしてくれれば、取りにいけるのに。あ、理解できるかどうかって問題は、また別で。」っていうのがあるのかも知れません。ええ、私もこの意味分かりませんが、方法論、技術論的には何かあるって事ですよ。河野さんも情報を取りに来て欲しいって言ってたようですが、それはit1127さんのご指摘する通り殆どの国民は自分のことで精一杯だからそんな親切なことはしませんよ。理想論としては河野さんの言う通りかも知れませんが、やはりそれは理想論以上にはなれない気がします。
情報のPRのし方については、企業の人がどうやってこの製品を売ろう、というためにPRしたい情報や製品をどうやって消費者(官にとっては国民)に伝えようかってことを日夜知恵を絞って考えているんですよ。企業にはそれを考えることだけを仕事にしている専門家の人もいるのです。それくらいPRというのは色々なノウハウが必要なのですから、通常業務の一部としてしかPRが位置づけられていないとしたら、それはさぞかし大変なことだと思います。
それから、選挙に行かない人たちは「どうせ投票しても何も変わらないし」という考えの人たちだと思います。で、それはある意味当たっているし、ある意味当たっていないと思います。組織のトップ以上の人材はその組織にいない、という言葉があるようですが、残念ながらそれは結構本当だと思います(規模は色々あると思いますが・・・)。でも、自分たちが動かないと変わらないと実感している人たちはそれでもまだ社会の中ではごく少数だとは思います。たぶん、生活に支障をきたす(食べ物が食べられないとか、水がないとか)レベルまで行かなければそんなに多くの人は実感しないのだろうと思います。
年金だなんだ、って騒いでもしょせんその話をした後はおいしい料理に舌鼓を打って、楽しいテレビ番組を見て、家族と屋根の下で安らかに眠れるのですからね。
記者クラブについてあれこれ(2)に続く
【関連記事】
2004年08月05日(木) 記者クラブについてあれこれ(2)
http://www.myprofile.ne.jp/blog/archive/hiroette/843
いただいたコメントはこれです。
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反発覚悟でストレートに書きますと、記者クラブ自体はあまり問題ないと思います。
例えば、よい例(?)と世間で言われている記者クラブ廃止後の長野県の「表現道場」は明らかに知事のパフォーマンスに利用されています(長野県のHPに すべての会見がアップされているので読むと、田中知事は都合の悪い発言は遮り、都合のよい発言には延々と演説しているのがよくわかります)。
実際の記者クラブには役人はどうしているかというと、プレス発表のたびに200部程度の資料を持ち込み、その資料を適宜取っていってもらうとい うケースが一番多く、そのほか、記者会見を行う、プレスにレクチャーするなどがあります(結構労力を使うのであまりやりたくないです)。
資料もなるべくわかりやすく、複雑な法案はプレスレクなどしたりしてなんとか真意を伝えようとします。
それでも全然違う記事が載ったりするケースもしばしばです。
理由は
1)結論が決まっていて、その方向に政府の資料を利用しただけ(年金関係でもよく見られましたが意図的にコアな部分より恥の部分を叩くという奴です。国民不在ですね)
2)記者の勉強不足(多忙なためでしょう)
かくして役人はどうしたら国民に真意が伝わるのであろう、と悩み続けるわけです。
ちなみに、記者クラブを利用した方が政府に都合がいいというのはないです。
なぜなら、記者発表資料は全部HPにアップされているからです。
情報の宝庫、各省庁HPを皆様是非ご利用くださいませ。
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なるほどー。官僚の側からの実感のあるコメントです。では、都合がいいのは記者クラブに参加している記者さんのほうですかねえ。あれって参加できるメディアって決まってるかなんかなんですよね、確か。
政治家である河野さんと官僚のハーデスさんの思いが違うのは、立場が違うから当然なんでしょうね。しかも政治家はパフォーマンスに長けている。実利がメインの官僚さんたちはやっぱり国民にどう写るかってところでは、ちょっと分が悪そう。田中知事が利用していると言っても、それの真偽はわかりませんが、やっぱり政治家で自分のやりたいように進めるためにそのくらいのことはしちゃうのかも知れませんね。
>かくして役人はどうしたら国民に真意が伝わるのであろう、と悩み続けるわけです。
私もこれについては、官僚さんのお話を聞くようになってからなんとなく感じます。
でも、これは役人の置かれている立場からするとかなりの難問に思えます。というのは、各省庁のウェブサイトに資料をきっちり上げてあると言っても、その情報を得るには能動的な動作が必要なのですね。わざわざそれに興味をもってかなり高い関心を持って、何々省のホームページへ行って探すっていうのはかなりモチベーションとか問題意識が高くないとできない動作なんですね。探しに行ってあるかどうかっていうのも定かじゃないかもしれないですしね。ワイドショーをたまたまつけたら、「社会保険庁は伏魔殿だ」という受動的でも入ってくる情報には太刀打ちできないのですよ。現実問題として。
ネットではよくプル型とプッシュ型の情報などというかと思いますが、プル型の情報しか今は行政の側からは提供できない状態なんだと思います。
で、こちらの意図したように情報を流したり、アピールしたりするためにはマーケティング的な思考がある程度必要なのかもしれませんが、そういうことを役人がやると「情報操作だ!強制だ!」って言われちゃうんですよね?そうすると、プッシュ型で情報を流すことができないってことになっちゃいますよね。
プル型だけで、真意を国民に理解してもらうってかなり現実問題として難しいですよね。だからハーデスさんも日夜お悩みだということなんでしょうけど。あとは、たまにまじめに書いてくれる新聞記事とかに期待するしかないみたいな、すっごく自分だけではどうにもできない話になってしまいますね。
あー、まとまりがつかないのですが、ちょっと今日はここまで。
【関連記事】
2004年07月29日(木) 【今頃ですが】年金公開討論会の感想
http://www.myprofile.ne.jp/blog/archive/hiroette/835
【2007/07/31 追記】
この記事についてit1127さんからこんなコメントを頂きました
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一般的な国民がマスメディアの情報に期待するのは、面白さであって、情報の真偽ではないと思います。特に権力(政財官界など)に与するような、記事・報道は受けないと思います。だから、真の情報を欲している人に、正しく伝わるようなシステムが整備されていれば問題ないと思います。そういう意味では、情報公開は標準をクリアしていると思います。ほとんどの国民は、自分のことで手一杯で、官僚の真意を理解しようなどと思っている人はいないと思います。ですから、そういった国民に情報がどうしたら正しく伝わるかなどで、心を悩ますことはないと思います。情報の必要な人には十分伝わっていると思いますから。
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そうでしょうか。国民がメディアに求めるのは面白さのみでしょうか?情報の真偽ではないと言いますが、一応ニュースで報道されるものは間違った情報でないという前提で(たとえ建前だとしても)世の中は動いているのではないでしょうか。だから、ヤラセだったと発覚したら問題になったりするんですよね。官批判でない記事=権力に与する記事というのもちょっと単純すぎる解釈のような気がします。国民はたとえば税が下がる、何かが便利になるという事であれば、それを実施する人、言い出す人が誰であろうが(首相であろうが、官僚であろうが)喜ぶと思います。意味もなく反権力という国民は私は主流派ではないと思います。
ここで問題になっているのは仮に官僚がやっていることが10のうち8が良い、2が悪い(これはあくまでも仮ですよ!)だとすると、マスコミ経由で私たちに情報が届くときは10のうち1が良い、9が悪いという姿になって報道されていると言うことです。それについてハーデスさんは心を痛めているのだと思います。
もちろん、官の方もPRが完全かと言えば、それはたぶん違うのでしょう(だから現状がこんなわけで)。そのもともとの控えめなPRしかできない立場の人たちにとって「とりあえず官僚批判しとけ!」というマスコミの論調があるとすれば、それは彼らにとって大きな壁として立ちふさがるということは事実でしょう。
ミズタマのチチさんも書いていましたが、敢えて官発の情報をプッシュ型にする方法としては「官庁HPもRSSとかATOMフィード飛ばしてくれれば、取りにいけるのに。あ、理解できるかどうかって問題は、また別で。」っていうのがあるのかも知れません。ええ、私もこの意味分かりませんが、方法論、技術論的には何かあるって事ですよ。河野さんも情報を取りに来て欲しいって言ってたようですが、それはit1127さんのご指摘する通り殆どの国民は自分のことで精一杯だからそんな親切なことはしませんよ。理想論としては河野さんの言う通りかも知れませんが、やはりそれは理想論以上にはなれない気がします。
情報のPRのし方については、企業の人がどうやってこの製品を売ろう、というためにPRしたい情報や製品をどうやって消費者(官にとっては国民)に伝えようかってことを日夜知恵を絞って考えているんですよ。企業にはそれを考えることだけを仕事にしている専門家の人もいるのです。それくらいPRというのは色々なノウハウが必要なのですから、通常業務の一部としてしかPRが位置づけられていないとしたら、それはさぞかし大変なことだと思います。
それから、選挙に行かない人たちは「どうせ投票しても何も変わらないし」という考えの人たちだと思います。で、それはある意味当たっているし、ある意味当たっていないと思います。組織のトップ以上の人材はその組織にいない、という言葉があるようですが、残念ながらそれは結構本当だと思います(規模は色々あると思いますが・・・)。でも、自分たちが動かないと変わらないと実感している人たちはそれでもまだ社会の中ではごく少数だとは思います。たぶん、生活に支障をきたす(食べ物が食べられないとか、水がないとか)レベルまで行かなければそんなに多くの人は実感しないのだろうと思います。
年金だなんだ、って騒いでもしょせんその話をした後はおいしい料理に舌鼓を打って、楽しいテレビ番組を見て、家族と屋根の下で安らかに眠れるのですからね。
記者クラブについてあれこれ(2)に続く
【関連記事】
2004年08月05日(木) 記者クラブについてあれこれ(2)
http://www.myprofile.ne.jp/blog/archive/hiroette/843