ベトナムのフエで仲良くしていた人の中に16歳の少年がいた。彼は私の友人の妹のだんなさんの連れ子であった。最初であったのはパリ郊外のフォンテーヌブローの彼らの家でであった。

妹のだんなさんはフランス人とベトナム人のハーフ。で、その最初の奥さんはフランス人(だと思う。彼の風貌を見る限りは。)
そのだんなさんが私の友人の妹と再婚する前に、初婚の奥さんとどのようになっていたのかは私は知らない。離婚なのか。死別なのか。

友人の妹との間に息子が生まれてそれが3歳くらいで甘えたい盛りのかわいい盛り。その16歳の少年にとっては母違いの弟である。新しく来たお母さんも一生懸命この少年をかわいがり、その少年もぐれることなくとてもけなげに弟をかわいがってあげていた。

が、ある日、私の友人一族がそろって出掛けた時の写真を見せて貰っていたら、衝撃を受けた。その少年が写真に写っているのですが、瞳がとても寂しいのです。写真は如実に出るね。こういうのは。面と向かっているときは彼の笑顔にかき消されて気づかなかったけれど。その写真を見て衝撃を受けて彼の顔をまじまじと見てしまったけれど、彼は「どしたの?」って顔をしていたけれど、私にはその理由が言えませんでした。長男は頑張る宿命なんだろうかねえ。

よく考えれば、この少年が実のお母さんに甘えられた年数はそれほどないのです。アルバムなどを見せて貰いましたが、10歳前後にはもう産みのお母さんは何らかなの形でいなかったよう。その頃から、お父さんはいたけれど、お母さんに甘えたいという気持ちを一生懸命抑えて生きてきたんだろうと思いました。

彼は、日本の漫画やゲームが好きで、とりあえず私は彼へのおみやげに何がいいだろうと迷った挙げ句、少年サンデーを買っていきました。安上がりだけど、le vrai manga japonais(本当の日本の漫画)なので。彼とはどんな日本の漫画を読んだとか、こんなゲームをしたとか日本に憧れがあるらしく色々話しました。とってもけなげでいい子なんですよ。

けなげでまじめな子が一番陥りそうな瞳だと思いました。寂しい眼をした子供は個人的にとても気になります。私は何もできないんだけど。でも、彼がいつか憧れの日本に旅行に来るときは泊めてあげたり、いろいろサポートしてあげたいと思いました。