アメリー・ノートンの「畏れ慄いて」をDVDで見ました。本は日本語に翻訳されています。どういう話かというと「駐日ベルギー大使の娘として日本に生まれ育った、フランスの人気 No.1作家による、体験的OL小説。主人公「アメリーくん」は、優秀な語学力をかわれて日本の大手商社「ユミモト商事」に入社するも、来る日も来る日も「お茶くみ」と「コピーとり」ばかり。青い目のOLとして、絶望の日々を送っていたところ、その能力をアピールするチャンスが訪れるのだが…。 」
という解説がアマゾンのサイトにはありますが。とりあえず、設定としては青い目で日本語が堪能な白人女性が日本の会社組織で働くことになってのいろいろなカルチャーギャップの顛末って話です。非常に日本の会社社会が風刺的に書かれていて、半ば素っ頓狂な世界なのですが、作者は本当に日本の会社で働いた経験があるのですが、描かれる素っ頓狂な世界自体はかなり彼女の作家としての感性によるものであって、必ずしも日本の会社組織を正確に描写できているわけではないのですが、なまじ本人が体験があるということで、読者のほうは「ええ!日本の会社ってこんななの??信じられない!!!」と誤解する小説です。 この作家のほかの小説は読んだことないのですが、とりあえずこの本のおかげで日本を誤解する人がますます増えたんだろうなあなんて気分です。

って、それがなんとベストセラーになって映画化されてしまったんですよね。それを見たんですが。うーん、日本人からしてみれば「この映画見て何が面白いのかなー」という感じかなあ。まだ「ロスト・イン・トランスレーション」の方が勘違いぶりも理解できるし、作品的価値もずっとあると思います。「畏れ慄いて」の小説の方は翻訳を通しても作者の感性みたいなものが伝わってきたのですが、映画は本当にただたんに日本語堪能な白人のOLの女の子を会社の人がわけのわからないいじめをする、くらいな感じでした。主人公の挙動もこんな仕事ぶりをしたら日本人でもやっぱりやばいだろう、くらいな感じで突っ込みどころは満載です。

っつーか、とりあえず昔フランスに遊びに行ったときにその作品がちょうどブレイクしているときでフランス人から口々に「日本の会社って本当にあんななの???」みたいな質問攻めされて、その時はまだその本も読んでなかったし、一体なんなんだ!と思ったという記憶があるというかなり個人的な体験が入ってます。。。

まあ、日本人の心情がそんなにわからないガイジンが日本の会社組織を見たらこんな風に映るかもしれないなあ、というくらいの話で申し訳ないけどあまり文学的価値は感じられない。あ、ほかの作品については読んだことないので、価値があまりないというのはこの作品に限らせていただきたいですが。