身の回りの政治・経済

これでちょっとは財政赤字が減るの? ー 色々な増税と控除廃止

サラリーマン控除縮小へ、増税色強まる 政府税調報告書
朝日ドットコムより
「政府税制調査会(首相の諮問機関、石弘光会長)は21日、個人所得課税の見直しに関する報告書(論点整理)を公表した。税負担を軽くする各種控除について軒並み縮小・廃止の方針を打ち出し、とりわけサラリーマンにとって増税色が濃い内容となった。」

サラリーマンはみなし控除というので3割は経費扱いになっていたけど、そういうのをやめて「経費が適切に反映されるような柔軟な仕組み」にしていこうとしているらしい。理由はサラリーマンのガラス張りの税金の精度が「『自営業者に比べ不公平』との不満を受け」たかららしい。ってサラリーマンってもともとすごい保護されていると思うけど(上記の3割もかなり手厚いらしい)、とりあえず確定申告できる範囲を広げていくと言うことらしい。

個人的にはいいんじゃないでしょうか、と思います。

あとは配偶者控除も廃止の方向だそうです。ここにも書きましたが。もう、24時間働くお父さんとそれを支える専業主婦という図式が描ける時代は終わりつつあるのかなあ、と言う感じです。私もつねづね母親とかが一生懸命この103万円とか130万円の壁を気にしながら働いているのが子供心に不思議だなあって思っていた。

基本的には全体から言うと増税になるらしい。増税ということは国の収入が増えると言うことです。国の収入が増えると言うことは国の赤字が少しは減るってことなんでしょうか?
上記の朝日の記事には「 見直し対象とした控除により、国の所得税収は05年度予算で「給与所得」が6.8兆円、「扶養」は1.7兆円、「配偶者」が0.7兆円など総額10兆円規模の減収となっている。国の年間消費税収に匹敵する。」とあるので、簡単に言えば総額10兆円は収入が増えると言うことでしょうか。

国の赤字に関しては常々解決するには「税収を増やす(=増税)か社会保障を削る以外に方法はない」というような事を良く聞いていた。最初はふむふむ、なるほど、そうなのか。そうなんだね、と納得していたけど、最近は「ちょっと待って」とも思います。本当にその二つしか方法がないのかなーーー?って思いました。かといって私はその筋の専門家でもなんでもないので、その言葉を論破できる知識や技量があるわけでもない。でも、なんとなく心情的に納得いかないのよね。介護保険なども非常に赤字を増大させる制度であるとも聞いていますが。

私は今回のこういうポリシーの増税は基本的に反対ではないです。あとはとにかく怪しいお金の使い道を減らす努力をしていただければ言うことありません。上記の「税収を増やす(=増税)か社会保障を削る以外に方法はない」について違和感を持つのはこの辺(無駄な出費とか)をすっごい努力してこれだけ減らしたから、次は社会保障も減らしていいよね?増税もしていいよね?っていうなら納得できるけど、それがなくてやられるのはやっぱり心情的には納得はいかない。

ま、政府や地方自治体も、漠然と普通に新聞とかの報道だけ見ていたらわからない努力を色々やっているのかもしれませんが、とりあえず談合はやめてほしいです。地方自治体だってたくさんやっているそうです。そこにも国からの補助金がたくさん出ているのだと思います。出費を減らすところだけを考えたら、談合をやめるだけで相当出費が減るような気がするんですけど、いかがなものでしょう?

あとは、選挙で投票していない人は今回の増税について文句をいう権利は私はないと思います。私は投票したら世の中が変えられるんだ!とまではなかなか確信するのは難しいけど少なくとも投票している限りは国や地方自治体の政治に意見を言ったり文句をつけたりする権利はあると思います。こうしてブログに色々書いていても実は投票してませんでした、なんてことはしないようにしようと思います。

関連記事: なるほどねーー知らなかった税制 [2003年06月23日(月)]






  





あるフランス人の話。"Premier acte politique(プルミエ・アクト・ポリティック)"

あるフランス人の友人は「物(サービス)を買う」という行為は"premier acte politique(プルミエ・アクト・ポリティック=最初の政治的行為)"だと言います。私たちは選挙で投票する以外には、簡単に世の中に対して何かを働きかける方法がないと思ってしまいがちですが、彼女曰く物(サービス)を買うというのも立派な政治的行為であって(別に市民運動とかに参加しなくても)誰でもが手軽にできる事だ、と。

ある企業があってそこが不正をしたり、自分の考えと合わない経営方針でものを売っているとしたら、批判の意思表示をするためにその企業の製品を買うのをやめるとする。そういう人が大勢出てきてその企業の製品を買わなくなって、売り上げが減ったとしたら、その企業は経営が立ち行かなくなるということです。彼女はそのように社会に対して意思表示をしていると言うことなんですね。そうやって社会を動かすことができると信じているわけです。

でも、NHKが不正をしたから受信料を払わない。年金の運用の方法に不満があるから、或いは社会保険庁や厚生労働省のやりかたに反対するから年金の保険料を払わないというのもこの範疇に入るのだろうかと思いましたね。実際に色々な問題が噴出した後にNHKの受信料とか年金保険料の未納率が上がったりしましたが。。。ということは、日本人も知らず知らずのうちにpremier acte politiqueをやっているということでしょうか。

うーん、とはいえ、どこかの企業の製品を買わないのと年金保険料支払い拒否はまた別か。年金は万が一破綻しなかったときはとばっちりは自分に来ますからねえ。いずれにしろ、対企業に関してはこの行為はそれなりの意味を持つかもしれません。だから、例えば世の中が読売新聞はけしからん!JR西日本がけしからん!TBSがけしからん!とかって言うんだったら、そう思う各人がそういう行動を起こすという方法もあるんだなあと思った。けしからん!けしからん!って言うだけで例えばそのまま読売新聞を購読し続けていたら、確かにあんまり説得力はないかもしれませんよね。

なんていうかそれから、雪印とか三菱自動車の売り上げが落ちたのも同じ理屈のような気もしますが、それは不祥事でイメージが低下したからで抗議というのとはまたニュアンスが違うかもしれませんね。だって、今回ので例えば読売新聞の発行部数が著しく落ちた(多少は落ちてるかもしれませんが)とかTBSの番組の視聴率が著しく落ちたと言う話は余り聞かないですよね。

いえ、別に私は上記の会社が売っているもの、提供しているサービスに対してボイコットすることを推奨しているわけではありません。批判を意思表示するならそういう方法もあるんだなあ、ってだけですので念のため。

とは言え、フランスではマクドナルド襲撃したりとか、大臣の家の電気系統を壊して大臣の家だけに電気をいかなくするとかっていう事件が起こるんですよねえ。それはそれで過激です。。。

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週刊!木村剛より
2005.05.17 [木村剛のコラム] メディアのネット批判は正当か?

郵政民営化と郵貯

ひさしぶりにキムタケさんのKfiClubのイベントに行ってきました。そこで聞いた話で印象に残った話を一つ。
それで、私も年金のことは以前に比べれば比較的色々なことがわかるようになったのですが、その他の分野については依然としてなかなかまだまだなんです。いろいろ最近話題になっている郵政民営化についても同様です。そこで、郵政民営化についてのこんな説明を聞いてなるほどーと納得しました。

というのは、郵貯っていうのは一応ほかの金融商品に比べたら簡単で安全性の高い堅実なものだっていうことになっているから世の中の人たちが色々と利用しているのですが、結局郵貯で集められたお金は国債などを買って運用されているわけなので、実情が見えにくい。だから民営化されたら郵貯というのは個人国債を買うところとシンプルにすればいいんじゃないの?というお話でした。

郵貯で集められたお金がそのあとどうなっているか分からないから、堅実な商品=郵貯ってうイメージだからみんな郵貯を使うのであって、それが個人国債を買うってことなんだってはっきりわかったら、それはやっぱり人々の行動は変わるんだろうなあとは思うんですが。いや、このカラクリは別に国は隠れてやっているわけではない。調べようと思えば調べることができる程度の事実ですが、郵便局に行って郵貯のポスターにはっきりそう書いてあるわけじゃないから、何も知らない人はやっぱりそういう事は知らないままになってしまいますよね。

実際、私だったらやっぱり「国債買いましょう!」って言われたら、お金の運用のド素人としてはちょっと債券ってところでもう既に「なんか恐そう。。。」って二の足を踏んでしまうでしょう。安全で簡単な郵貯愛好家の人だったらなおさらだと思います。しかも、こんだけ借金がたくさんあるよ、って最近は話題に上ることも多い国債が(イメージ的なレベルで言ったら)郵貯と比べて堅実な金融商品だって感じはぜんぜんしませんし。

まあ、なんていうか、世の中と言うところは目に見えるところと実質の正体が結構違うものが沢山あって、その実質を知らないままに暮らしているのと、そういう事を知りながら暮らしていくのでは全然認識って変わってくるよなあ、というのをしみじみ思ったのでした。

確定申告についてのとある本の中に・・・

とりあえず、確定申告について勉強しはじめた。ある本の中にこんな記述が!

「社会保険料控除・・・健康だけど払っているゾー(国民)健康保険料、ビンボーだって払ってるゾー(国民)年金保険料。喜べ、愛国民よ。その「全額」が控除できるゾー。

「ふつう支払ったものに対しては領収証だの支払い証明書だのって何かとウルサイ世界なのに、これだけは別扱い。何の添付も必要なくて、数字の記入だけでOKってことになっている。」

「ここで、密かにアオくなっているヤツはいないか?そう、年金や健康保険をバックレちゃってる君らである。ここに記入しないってことは、それがバレちゃうんじゃないか、ってね。でも、そこんとこは安心だ。税金関係と社会保険関係は、管轄がまったく別。ゆえに「こいつバックレてますよー」ってなことを税務署員は社会保険事務所にチクったりしない。だからここを心配するあまりに申告しないで、還付金をみすみすあきらめるのはチト惜しくはないかい?」

とのことですが。

ちなみに引用元は「2005年度版 ビンボーなあなたの確定申告楽勝マニュアル」造事務所編です。
私はこういうのも全然知らなかったのでとりあえず今読んでいるところなのですけどね。この本は結構抜け穴系のことも色々書いてありまして、初心者の私はなかなか目から鱗であります。サラリーマンと自営業では考え方が全く違う世界ですからねえ。

で、要するに上記では年金未納でもそれは税務署にはわからないから還付金もらえるよ、ってなことを言ってるわけですが。しかし巷では保険料取りっぱぐれてても余り取りかえす気合いが感じられない社会保険庁なんて潰して国税庁と統合して、年金の取り立てを国税庁にしっかりビシビシやってもらおうよ、なんて話も出ているわけですが。

そうすると、お役所的には「いやいや、保険料と税金は全く違うものだから統合なんて考えられないよ」みたいなことになるのでしょうけど。国民としては徴収されるってことにおいては同じだからなんで統合できないわけ?って思いますよねえ。

ま、万が一統合されてしまえば、上記のような抜け穴はなくなるわけですよね。
税務署と社会保険事務所がリンクしていないっていうのは、なんかなーって思いますが。この辺が縦割り制度の最たるもの?って気もします。毎回毎回大枚をはたいて税金を使ってシステムを業者さんに作ってもらっているけど、制度的にはこうなのね・・・って感じですが。まあ、誰も自分の受け持っているところをつつがなく仕事していればいいのですからね。みんなこんなことは百も承知なんだけど、このままであり続けているところがなんだかなーと思いますが。

それにしても、こんなことは知ってる方には常識かもしれませんが、日本の税制度ってとりあえず先に取りたてておいて、あとで控除できるものについては申告してくれればお金を戻しますよ、という考え方なのですよね。いわゆる源泉徴収。外国みたいに全部申告してからあなたの税金はいくらです、という方法ではない。日本の方法だと無知な人は申告しないのでその分たくさん税金を取れる仕組みになっているのだと思う。そして、処理方法としては取る方も取られる方も効率的ではある。外国の方法だと(と言っても私はうすぼんやりとフランスの事情しか知らない。)、税金を払う分を忘れてがんがん使っちゃってあとで申告する時に税金を払うお金が残ってない!なんて事にもなりかねませんからね。

そういう意味では日本政府頭いいなと思いますね。ま、良くも悪くもなんとなくお上をいただく日本国民の制度なのかな、って気がします。

今年は個人的には国家財政破綻などという自分の身の丈に合わないマクロなことに関心を持っていましたが、これからは自分の身の丈にあった税制を少しずつ勉強したいと思います。財政破綻しても自分が大丈夫なようなことをミクロとマクロで考えられたらいいな、と思います。たまたま私は日本人に生まれて日本に住んでいますので、その国の状況くらいは把握しておいても悪くはないでしょう。

【追記】2004/12/9
という記事を書いたそばからこんな記事を見つけました。
人事労務リスクマネジメント研究所というブログの中の
年金保険料の所得控除、納付証明を義務付けへ (NIKKEI NET)」という日経の記事を取り上げたエントリです。

「厚生労働省・社会保険庁と財務省は、納付した国民年金保険料を課税所得から差し引ける「所得控除」の条件として、保険料納付証明書の添付を納税者に義務付ける方針を決めた。2005年分所得から実施する。保険料を払わないのに税が軽減されるのを防ぎ、年金未納対策を強化するのが狙い」これがNIKKEI NETの記事の説明。

それで、このエントリを書いている方は社会保険労務士さんのようですが、このNIKKEI NETの記事に対して以下のようなコメントを書いていらっしゃいます。

「個人的な意見としては「何をいまさら言っているのだろう???(最初からやっておくべきでは?)」という感じがあります。社会保険庁と連携してデータをとっていない限り、把握の証明は当然必要だと思うのですが、提出されたあと、何もチェックしていなかったのかとややあきれてしまいます。」

上記の確定申告の本には「年金をバックレてても税務署員はチクったりしないから大丈夫!」と書いてありますので、年金未納かどうかなんて当然チェックしてないでしょう。まあ、建前として「年金は強制加入なのでまさか払ってないなんて事はないでしょうから、国民のみなさんを疑うような納付証明書を見せろなんてもちろん言いませんよ!」っていうのがあるのかもしれませんし、単にほんとにみんなが騒ぎ出さない限りはなんも対策をしてなかったってことかもしれません。

と言うことで、年金未納でも控除ができるというのは2005年分からできなくなるようです。はー、こういう税制の本って陳腐化が早いですね。私が読んだ本は2004年度版ですから。うーん。変化って激しいんですね。国民年金未納を減らすにはこれはそこそこ効果があるのだろうと思う。だってみんな控除でなんでも落としたいと思いますから。特にフリーの方々。国民年金の未納は厚生年金を払っている方からすると腹立たしい話ではあるので、ある程度は納得できることなのかもしれません。

というか、これで国民年金はかろうじて対策ができたけど、併せて問題になった議員年金が廃止になるという話にはなかなかなりませんねえ。
ここを見ると、色々なことがあるようですが。議員年金なんてなくしても国家財政の改善には微々たる金額だとか、ほかの年金に比べて議員が払う保険料でなく、税負担が7割で著しく高いのが問題だとか、いろいろ書いてありますが。そもそも年金なんて名前がついているのでややこしいのですが、議員年金は性質上ほかの年金とは違うもののようです。(だったら紛らわしい名前つけないでほしいが。)

どっちにしろ国民年金対策もする以上こっちもして欲しいものだと思いました。

でもなんにしろ、とにかく「問題だ!」と声を上げれば何かしら国は動くものだと思いますので、いろいろ関心を持ち続けたいものですね。

いろいろな増税について考える(2)

昨日の「いろいろな増税について考える」の記事についてまたいくつかコメントをいただきました。ありがとうございました。

それで、増税と言ってもいろいろな意味があるんだなというのを理解しました。
ハーデスさんの説明からすると
(1)あの人からはとるけど、あの人からは取らないという不公平感を無くすために新たに取ってない人から取れるような税金を設ける。(あの人から取ってないんだから、こっちの人からも取るのをやめる、という選択肢は余りないのかな・・・)
 →いわゆるフリーター課税
  サラリーマンから取って、
(2)とりあえず取れそうなところから取る。
 →環境税?
そのほかの意味合いでの増税もいろいろあるでしょうね。
でも新聞のベタ記事だけ読むとそういう違いまではなかなかわかりませんね。難しいですね。

それからNILさんのご説明では郵貯の裏技でできた全体の利子が700億ということでしたが、これは一年分に該当するそうなので例えば10年間だったら7000億ですね。(以前はこの裏技ももっと今よりゆるい規則でできていたはずだし)

NILさん的には「貰える筋合いのある種類の収入ではない」という見解ですが、結局国民からお金を預かってたくさん(必要以上に)利子をつけて、その利子を払うために国債を買ってってことになりますよね。で、その国債を最終的に払わなければいけないのは国ですから、すなわち私たちの税金ってことですよね??あららら、なんだかお金が堂々巡りしている様な気がするのですが。。

国債ってところでいつもわからなくなってしまうんですよね。それとも、国債は未来の日本が払うものだから、私たちは郵貯に預金して自分たちの子孫に借金を負わせてるってことになるのでしょうか。子供、孫のために一生懸命郵貯に貯めて入る人もおそらくたくさんいるはず。そうなると、なんかややこしいなーーって思ってしまいますね。

でも、端数切り上げのような1円未満でも積もり積もると長い間に何兆円になるってすごいですね。これこそまさに「ちりも積もれば山となる」ですね、、いやー、すごいなあ。国単位のお金というのは。

【関連記事】

いろいろな増税について考える [2004年10月06日(水) ]
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